中華街。・・・そこには世にも恐ろしい奇妙な中華料理屋が存在する。ゴゴゴゴゴ
そこは皆誰もが気軽に入れるような店ではない。
私のような人間ならそこに足を踏み入れるには容易いことだが、ごく普通に育ってきた人間はまず足を踏み入れることはないだろう・・・。
画像は横浜中華街。そこにはなぜか栗の試食を配る人も写っている。まさにミステリアス。
しかし、こんなものは序章に過ぎなかった・・・。いつの世も上には上がいるこの世界で、そのミステリアスを極めようとする一人の人間がこの中華街の片隅で物語の幕を開けようとしていた。
「天龍菜館」
知っている人は知っている。知らない人は知らない方がいい(笑)。
なにも知らずにこの店に入っていたら、入ってしまったら!!・・・いや、その前にこんな店にはまず入らないだろう。
その店の名は「天龍菜館」。この店の料理を食わずして中華街は語れない。それほどの店だ。
外からみた店内の様子。
店の外に蒸篭があるが誰もいない。そしてよくみるとガスコンロの横に肉まんが放置されている。
・・・・。
サンプルだろうか?
店内。どうやら人がいるようだ。・・・それよりもここは飲食店なのか?壁はシャッター。椅子はパイプ椅子。って事務所??右側にあるのは厨房の扉だろうか・・・?とりあえず店の中に入ろう。ガラララ・・・
ん?
テーブルの上にこれが・・・↓

自分「・・・・・・・・・。」
友人「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
はっ!!なんて心遣いだ。そうか!そこのチャイムで店の人を呼ぶんだな!!
自分「よし!」ポチッ。チャイムのボタンを押す。ピンポーン
親父「はい。」 と、チャイム越しに親父が応対する。
自分「2名なんですけど。」
親父「はいはい。テーブルに腰掛けていてください。すぐに行きますので。」ガチャ。
自分「・・・・。」
友人「・・・・・。」
親父はいまどこに?なぜチャイムで呼ぶのかこのときは知る由もなかった。
店内を見渡すと料理のメニューがあった。どうやらここは飲食店のようだ。ホッ、っとしたのも束の間!!店の外からラーメンを持って来た親父が店の中に入ろうとしていた。
友人「!!?」
自分「(ここは食堂なのか?持ち込みもいいのか?)」
ラーメンを手に持ちながらその親父は店の中へと入った。ガララ・・・
親父「いらっしゃい。」
自分と友人「!!(・・・・・、誰?)」
店の外からラーメンを持って来た親父はそのラーメンを先客のテーブルに置いた。ドン!
自分「(・・・いや、ちょっと待て!!)」
なんかおかしい!!なんかおかしいぞ!?その右側にある扉は厨房ではなかったのか!!?それ以前に親父はこの店の主人なのか!?
突然店の入り口から現われた親父に戸惑いを隠せない私たち。一体どこからやってきたのか?出前だろうか?
そう思っているうちに親父は私たちに注文を聞いてきた。
親父「ここははじめてかい?」
自分「は、はい。」
親父「麻婆豆腐は好きかい?」
自分・友人「好きです。」
親父「酢豚は?」
自分・友人「好きです。」
親父「黒酢の酢豚でもいいかい?」
友人「黒酢のほうがいいですね~。」
親父「後は勝手に出すけど予算はどのくらいで?」
自分「2000円くらいですかね~。」
親父「はいよ。」
自分「何品ぐらいでるんですか?」と聞いたところ、
親父「あっ、お酒はビールと紹興酒しかありません。グラスはそこにあるやつを使って下さい。」
そう言って親父は店を出て行った・・・。
自分「・・・あの、で結局何品・・・でるの?」
親父は勘違いして聞いていたのか、その問いに答えることはなく親父はどこかに行ってしまった。
ここでいろいろ聞きたいことが山ほどあったが、ひとつだけ。ひとつだけ聞きたかった。親父は誰ですか?と、確かめたかった。
まあいい。どうせ後からわかることだ。
ふぅー
自分「なにが来るんだろうね。」
友人「さあ。」
しばらくすると親父はまた外からやってきた。ガラララ・・・
親父「はい。」ドン!テーブルの上に小さな春巻らしきものを置く親父。
自分「これはなにか(醤油など)つけて食べるのですか?」
親父「箸は使わないでそのまま手で食べてください。」
自分「・・・(か、会話が成り立ってね~!!!Σ(゜д゜;))」ガビーン!!
春巻を置いてまた店を出て行く親父。
友人「うん、うまい。」ボリボリ。 目の前に料理が出されるとすぐに手を出す友人。私も、
自分「う、うまい!うまいぜデリシャス!!」
春巻を食べ終わってあることに気づく。
自分「あれ・・・、これってメニューになくない?」
友人「ほ、ホントだ!いきなり裏メニューかよ!」
まさにサプライズ。
その約10分後。今度は麻婆豆腐を2皿両手に持ってやってきた(親父)。
親父「はい。」ドン!
自分「おお~!溢れとる溢れとるワイ。」平らな器に麻婆豆腐が盛られていた。
友人「あれ?」
もう片方に持っていた麻婆豆腐を隣の席に置く。ドン!
友人「一人一皿じゃなかったんだね。」
自分「そうだね。」親父のフェイントにまんまと掛かってしまった二人。
皿を置いて親父はまた店を出た。
そろそろ親父がどこからやってくるかはっきりさせなければスッキリしない。うまい麻婆豆腐を食べながら考えていた。
ちょうどトイレに行きたくなり、店の中を探した。
厨房らしき扉の中に入ったがそこには小さな調理スペースと小さな冷蔵庫、地面にはゴミ(?)なのか食材なのか、それらしきものが置かれていた。
どうやらここにトイレはないようだ。隣の客は常連さんみたいだったので聞いてみたらトイレは店を出て30mくらい離れた駐車場にあるらしい。
このときはなにを言っているのかよくわからなかった(笑)
半信半疑でトイレがあるというところへ向かう。
自分「・・・こ、これか!!」そう、そこは公衆トイレ。どうやら勝手に店のトイレとして使われているらしい(笑)
トイレは店よりも綺麗で広い。なんだか日本に戻ってきた感じがしてほっとした。
用を済まして店に戻っているとき親父がどこから来ているのか気になってしょうがなかった。すると上の階からジュージューとなにかを調理する音が聴こえて来るではないか!!
自分「そこか!!」ビルの階段を上っているとき遠くから親父の声が聞こえてきた。
親父「酢豚?四人前?」・・・親父のほかに誰かいるのだろうか?わたしは親父の声がする方向へ向かう。
私は階段を上る。
親父「はい。かしこまりました。」ガチャ。
どうやら親父は電話で客の予約をとっていたようだ。ビルの3階の奥に親父がいて料理を作っていました。邪魔するといけないので私はまたあの店へと戻った。
それからすぐに親父は料理を運んできた。「黒酢酢豚」と「キノコと肉の炒め物」ドドン!!
おーおーおー。一気に二皿も。酢豚を先に作ったのか、少し冷めていた。でもなんだこの味。食材は豚肉だけなのにクドさも無くあっさりすっきり。この黒酢・・・、うまい。中華料理というか家庭料理に近い味付けでこれなら何皿でもいけそうだ。(´∀`)
しかし、料理はこの黒酢酢豚をピークに次第に衰え始めた(´∀`)
この後に来た「牛肉とキムチの炒め」・・・微妙。次に「モヤシとモツ(鶏)の炒め」うまいんだけど・・・、麺に絡ませたらよかったかも。
衝撃の少ない味付けに飽きが来たのかもしれない。
親父「どうだい。ハラいっぱいになったかい?」
友人「お、おれはもう・・・。」
自分「まだ行けます!」
親父「!!」
自分「あとお粥・・・、あっ、やっぱりチャーハンひとつお願いできますか?」
このときの親父の顔、こんだけ食ってまだ食うのかよ。俺はもう作りたかねえよ。って顔してた(´∀`)やっちった。
そして友人は肉まんを注文。
親父は店の外にある蒸篭から肉まんを取り出した。ガポッ!
自分「(いや、ちょっと待て!!その蒸篭!火がついてないじゃん!!さっきまでモクモクだったけどいまはその煙が消えてから20分は経ってるぞ!?いいのか?そこから取って客に出していいのか!?)」
友人「おっ、早いね。」ゴトリ。
友人が肉まんを注文してから10秒で出た。
友人「ちょっと冷めてるけどうまいわ。でももうちょっとあったかかったらな~。」
自分「(まっ、自分がうまいと思えばそれでいいのだ。)笑」
それからすぐに親父はビルの3階の厨房へチャーハンを作りに・・・。
料理を運ぶサービスマンもいない。レジもいない。いるのはひとりの料理人。
私はその親父の姿を見て感動した。料理作るのも、運ぶのも、皿洗いも、会計も、なにからなにまでひとりでやっている姿が輝かしく見えた。
自分「(親父・・・、うまいの頼むぜ。)」(*゜ー゜)キラン
でもチャーハンの味はしょっぱかった(笑) 2000円おまかせコースおわり。
そう。あとから計算してみたら最後に頼んだチャーハンと肉まんが料金に含まれていなかった。まさか、親父流おまかせコースで満足できなかったからこれはその心遣いか?そんなことしなくてもいいのに・・・。
親父は甘かった。そしてやさしい。・・・単純にアホなのかもしれないが。
友人の食べた肉まんがとってもおいしかったのでお土産に肉まん、あんまん、シュウマイを買いました。
会計5,170円(酒は飲んでいない。)
私たちは約2時間半も店にいたがあとから他の客は誰も入ってこなかった。おそらく今日の客は私たち二人と隣の客3人・・・。こんなんでやっていけるのか?(@_@)明日あさっては予約でいっぱいだそうだが、う~ん。ひとりで本当にお疲れ様です。
すべての料理を出し終えてから親父は1階の店に入り、明日の予約のシュウマイを仕込んでいた。
親父「予約がたくさん入ってさ。正直面倒だけど、」
自分「おいおい(汗)。」
親父「食べたい人がいるならがんばってやらなきゃなあ。」
自分「・・・。」
そこでいろいろ話を聞かせてもらった(正確には隣の客が聞いていた)。親父は中国生まれの中国人。13、14歳の頃から料理を学んできたらしい。そしてこの親父・・・、現在なんと82歳、誕生日10月17日天秤座。全く歳を感じさせない動き、ボケ、料理の出来具合(でもチャーハンしょっぱ!!)(´∀`)なので驚きました。
おいおい、でもよく考えたらすげーよ。だって調理場三階よ。そこで作って下まで料理運んでまた階段上って料理作るんだぜ?すげーよ。感動した!!
お土産のシューマイはさっき仕込んで蒸した明日の予約分(?)のシューマイから10個取ってくれました。
自分「(予約の分はいいのかなあ?)」
よくわからなかった(笑)。
で、お会計だけど、金を払ったはいいがこの店にレジというものがないので親父は懐から財布を取り出し、そこに金を・・・、サッ!!
最後の最後まで笑わせてくれる人でした(笑)
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